日米の金利差や国際情勢の不透明感などを背景に、歴史的な水準で円安ドル高が進行する中、2022年以降、日本政府・日銀は、過度な価格変動を抑えるために数兆円規模の為替介入を7回実施しています。
FXトレーダーなら誰もが気になる「為替介入」。しかし、いざその場面に直面すると、「価格はどこまで下落するのだろうか?」、「ショートでエントリーしたいが戻りが怖い」…など、ちょっとしたパニックになるかも知れません。
財務省から公表されているのはあくまで為替介入の「実施日」だけですが、チャートの前で戦う私たちにとって重要なのは、もっとリアルな現場の空気感ですよね。今回、専門のアナリストや学者とは違う、一人のFXおじさんの視点で、過去7回の為替介入を、その開始時刻や値動きなど徹底検証してみました。
※本記事の介入開始時刻は、ドル円チャートの急変タイミングに基づく私個人の推測であり、政府の公式発表ではありません。あくまで、趣味の分析レポートとしてお楽しみください。
2022年9月22日 2.8兆円規模 円買い介入
1998年以来、24年ぶりの日銀による円買い介入。
チャート形状から、2回に分けて実施したのではないかと思われます。

| 日付 | 時間 | イベント | 値動き |
|---|---|---|---|
| 9/21 | 27~28時 | FOMC政策金利発表&FRB議長会見 | ー |
| 9/22 | 11~16時 | 日銀政策金利発表&総裁会見 | 1ドル=145円台突入 |
| 17:03~ | 円買い介入 | 510pips↓ | |
| 25~27時 | 戻り目 | 260pips↑ | |
| 20:35~ | 円買い介入(2回目?) | 230pips↓ | |
| 9/23 | ~朝 | 戻り目 | 200pips↑ |
| 20:45 | 投機的な値動き | 上下100pipsの変動 |
2022年10月21日 5.6兆円規模 円買い介入
2022年10月24日 0.7兆円規模 円買い介入
結果的に、この21日介入直前に付けた1ドル=151.9円が、2022年の円安のピークとなりました。

| 日付 | 時間 | イベント | 値動き |
|---|---|---|---|
| 10/21 | 深夜 | ー | 1ドル=150円台突入 |
| 23:36~ | 円買い介入 | 540pips↓ | |
| 10/24 | ~朝 | 戻り目 | 340pips↑ |
| 08:37~ | 円買い介入 | 410pips↓ | |
| ~16時 | 戻り目 | 400pips↑ | |
| 20:45 | 投機的な値動き | 上下100pipsの変動 |
2024年4月29日 5.9兆円規模 円買い介入
2024年5月01日 3.9兆円規模 円買い介入
日本がゴールデンウィークに入り薄商いになる中、海外勢による円売り攻勢に対して、先制を期する狙いもあったと考えられます。
4月29日の介入は、チャート形状から、2回または3回に分けて実施したのではないかと思われます。

| 日付 | 時間 | イベント | 値動き |
|---|---|---|---|
| 4/26(金) | 12~16時 | 日銀政策金利発表&総裁会見 | ー |
| 17:00 | 投機的な値動き | 上下170pipsの変動 | |
| 4/29(月祝) | 10:35 | 投機的な値動き | 上下180pipsの変動 1ドル=160円台突入 |
| 13:05~ | 円買い介入 | 430pips↓ | |
| 14~15時 | 戻り目 | 200pips↑ | |
| 16:07~ | 円買い介入(2回目?) | 250pips↓ | |
| 25:40 | 投機的な値動き or 介入? | 140pips↓ | |
| 5/1(水) | ~16時 | 戻り目 | 2日間で340pips↑ |
| 27~28時 | FOMC政策金利発表&FRB議長会見 | ー | |
| 29:09 | 円買い介入 | 450pips↓ | |
| 5/2(木) | 午前中 | 戻り目 | 300pips↑ |
2024年7月11日 3.2兆円規模 円買い介入
2024年7月12日 2.4兆円規模 円買い介入
前回までの介入と比べ、不意打ちのような形で行われたため、市場に強烈なサプライズを与えました。
7月12日の介入は、チャート形状から、2回に分けて実施したのではないかと思われます。

| 日付 | 時間 | イベント | 値動き |
|---|---|---|---|
| 7/11(木) | 21:30 | 米CPI | 80pips↓ |
| 21:41 | 円買い介入 | 350pips↓ | |
| 22:30 | 投機的な値動き | 上下100pipsの変動 | |
| ~翌朝 | 戻り目 | 200pips↑ | |
| 7/12(金) | 8~9時 | レートチェック報道 | 上下160pipsの変動 |
| 21:30 | 米PPI | 50pips↑ | |
| 22:05 | 円買い介入 | 140pips↓ | |
| ~23時 | 戻り目 | 100pips↑ | |
| 23:11 | 円買い介入(2回目?) | 80pips↓ |
まとめ
| 介入日付 | 開始時刻 | 下落幅 | 背景 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2022/9/22(木) | 17時~ (2回目?)20時半~ | 510pips 230pips | 1ドル=145円台突入 | 次の日「秋分の日」祝日 |
| 2022/10/21(金) | 23時半~ | 540pips | 1ドル=150円台突入 | ー |
| 2022/10/24(月) | 8時半~ | 410pips | 同上 | ー |
| 2024/4/29(月祝) | 13時~ (2回目?)16時~ | 430pips 250pips | 1ドル=160円台突入 | 前日、日銀金利発表 「昭和の日」祝日 |
| 2024/5/1(水) | 29時~ | 450pips | 同上 | FOMC金利発表直後 |
| 2024/7/11(木) | 21時半~ | 350pips | 1ドル=162円目前 | 米指標発表直後 |
| 2024/7/12(金) | 22時~ (2回目?)23時~ | 140pips 80pips | 同上 | 米指標発表直後 |
為替介入の日時より見えてくるもの
- 日本の祝日や、早朝など、薄商いの時間帯を狙ったものもあれば、指標発表直後の値動きに被せるような時もあり、特定の時間帯に為替介入が偏ってるわけではない。
- その一方で、東京株式市場取引時間内は明確に避ける傾向にある。
- 1日に2回の介入と推察される動きもあった。
警戒すべきポイント
- 1ドル=145円、150円、160円といった5の倍数のキリ番は要注意。
合わせて、口先介入が報道される状況であれば、警戒レベルの引き上げが必要。 - 一方で、2024年7月のような不意打ちに近いものも、今後あるかも知れない。
FXドレードでうまく立ち回るために
- 初動の破壊力
介入が入ると数分で300〜500pips動くため、ショートで大きな利益を得ることも可能。
ただし、一方的な下落中であっても、一瞬で数十pips上に吹き飛ぶ場面も多々あり、ハイレバ取引は危険。 - 戻り高値も大
介入が落ち着くと、底値を付け、100pips以上の戻り高値が期待できる。
2回目の介入には警戒必要。 - 2回目への警戒
1日に2回に分けて介入が行われるケースがあり、「一度大きく下げたからもう安心」とリバウンドを狙うと、2回目の下げで致命傷を負うリスクがある。 - なんちゃって介入
介入の前後には、短時間で上下に100pip以上変動する投機的な値動き、いわゆる「なんちゃって介入」が見られる。初動だけで介入と見分けるのは困難。
このデータにある「下落幅」の平均が400pipsを超えていることを考えると、「15分間で4円動く可能性がある」という前提でポジション管理を行うのが、生き残るための最大の鍵と言えそうです。
